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養子の「自己肯定感」はむしろ高い

「セックスワークサミット2017秋 」第2部レポート 後編

子どもの未来のための制度作り

 フローレンスでは事業と両輪でロビイング(政策提言活動)にも力を入れています。

 昨年、養子縁組あっせん法案ができました。現在、私たちのような民間の特別養子縁組のあっせん団体には、行政の補助は一切ありません。望まない妊娠をしたお母さんのサポートも含め、団体の自主運営に全て任されています。民間団体では、マッチングの実費としてだいたい100万~200万円ほどを養親さんからもらいますが、団体の収入はそれのみで、どこも運営が厳しいのが現状です。

 今回のあっせん法では補助が出ることが決まりましたので、大きな一歩です。また、現状届出をすれば誰でも運営できてしまう届出制から許可制に変わります。適切な運営をしている団体のみが行政から運営の許可が出され、そういった団体のみが補助を受けられるようになります。今後は具体的な制度設計の段階になるので、引き続き複数の民間団体さんと連携して、現場に即した制度になるよう働きかけていきます。

 今後の課題ですが、受け皿になる養親家庭の育成が一番不足しています。不妊治療に対する情報提供は非常に多いのですが、もっと早い段階から特別養子縁組という制度をもっと知ってもらいたい。そういった方に向けて、今年はオープンな研修を行っていく予定です。

 また、妊婦さんの支援については、私たち一団体で対応できることは限られているので、行政や、民間団体さんと連携していきたいと考えています。

 ここ数年、特別養子縁組を取り巻く環境は躍進的に前進しています。これもたくさんの人が関心を持ち、世論を後押ししたからだと思います。皆さんが本日ここで聞いたことや考えたことを周りの方々に発信してくだされば、それが社会を動かす大きな力になると思います。

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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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